A review by jeonhikari
悪人 Akunin by 吉田修一, Shūichi Yoshida

4.0

若い女性の変死体発見。容疑者は現在逃走中…タイトルの『悪人』は逃亡中の容疑者のことだろうか。法律上、殺人は重罪だが、感情的に、殺人者が必ずしも悪であるとは限らないし、殺害された者、または間接的に関係のある第三者が必ずしも善であるとは限らない。作者は登場人物の背景や人物の相互作用の織り交ぜ方などの解説が得意で、社会の底辺にいる人々の孤独、戸惑い、葛藤、絶望をうまく描いてしまう。無数の憎むべき人々が可哀想な人々と混ざり合い、最終的に最も憎むべき人々は罰せられず、最も罪のない人々は常に苦しんでいる。悪人は誰?